ジャニス:リトル・ガール・ブルー
12月17日(土)から京都シネマで公開
激動の60年代を駆け抜けた伝説の歌姫の素顔に迫る
ジャニス・ジョプリンは実に圧倒的だった。27歳の若さでこの世を去ったのは1970年。没後に発表された名盤「パール」は、今聞いても体を反応させるビートとスピリッツにあふれている。ジャニス独特のハスキーな声と、パワフルにシャウトする歌いっぷり!
世界で活躍する多くの歌手に影響を与え、“ロック界のジャンヌ・ダルク”とも称された。
ベトナム戦争や公民権運動などアメリカが大きく動いた60年代、賛否両論ありながらも頭角を現したジャニスの姿を追うドキュメンタリー。テキサスという保守的な地域に育ち、友達をつくるのが苦手で、容姿に対するコンプレックスを抱えつつも、自分らしさを大切にしてきた。だが、当時の人目を引く衣装や、ドラッグへの依存、男性遍歴などで、家族や昔の同級生たちが手放しで彼女の成功を喜んだわけではなかったようだ。
ジャニスが家族や恋人にあてた手紙も紹介されるが、そこから浮かび上がってくるのは、孤独の影。有名になっても、求めて得られなかったものがあったのだ。名曲「サマータイム」を歌うしゃがれ声の裏にも、少女の面影を残す小さな声が張り付いているように思う。ひとりの女性としてのジャニス・ジョプリンを読み解いてほしい。監督はエイミー・バーグ。
(ライター 宮田彩未 )