言葉なんかおぼえるんじゃなかった―詩人からの伝言
田村隆一/長薗安浩 ちくま文庫・950円
酒を愛する詩人が残した、考え方を揺さぶるメッセージ
戦前の東京、江戸の匂いを残す花柳界近くに生まれ育ちながら、戦後、それまでの叙情的な日本の風潮と異なる、新しい詩を読み、ミステリー小説の翻訳をし、そして酒を愛した詩人・田村隆一さん。本書は「詩人からの伝言」という雑誌の連載企画をまとめた聞き書き集。当時の編集長の長薗(ながぞの)さんが田村さんの晩年、その自宅に通い、「嘘(うそ)」「旅」「欲」「才能」などのテーマで話を聞いています。
この文庫版では、各章の最後に田村さんの詩が加えられていて、語りと詩との、声と言葉のインパクトが、私たちの生き方、考え方を揺さぶってくれます。田村さんとお酒を飲んでいるつもりで読むのもお薦めです。
【紹介者】
古書ダンデライオン 中村明裕さん
古書ダンデライオン 中村明裕さん
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