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試写室・劇場から

続・深夜食堂

11月5日(土)からT・ジョイ京都で公開

©2016安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会

小さな“めしや”を舞台に、さまざまな人生模様が交差する

原作は安倍夜郎のコミックで、テレビドラマ化されて国内はもとよりアジアでも大ヒット。その後、映画となりこれがその続編だが、3つの独立した短編を集めたオムニバス形式になっていて、何の予備知識がなくてもすんなり作品の中に入っていける。

その“めしや”はネオン街の路地裏にたたずんでいた。あるじが一人で切り盛りするカウンターだけのこぢんまりした店で、ユニークなのは深夜0時から朝7時までという営業時間。それでいて、磁石に引き寄せられるように、多くの人々が集まってくる。「焼肉定食」「焼うどん」「豚汁定食」と料理にちなんだお話それぞれに、人生のペーソスや妙味があふれていて、思わず引き込まれる。

ストレス発散のために喪服を着て街を歩くOL、母親になかなか恋人を紹介できないそば屋の後継ぎ、息子の金銭的ピンチを救うため、福岡からはるばる上京した老婦人。いずれも人生の岐路に立つ人物に対して、“めしや”が温かで人情味に満ちたオアシスとしての役割を果たすのである。そして、本作でも小林薫が演じる店のあるじは、特に口出しすることもなく、ただ腕自慢の料理を提供するだけ。この素朴な料理のなんともおいしそうなこと! こういう行きつけの店が欲しくなる。監督は松岡錠司。

(ライター 宮田彩未 

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