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試写室・劇場から

セルフレス/覚醒した記憶

9月1日(木)からTOHOシネマズ二条で公開

©2015 Focus Features LLC, and Shedding Distribution, LLC.

驚きの頭脳転送技術を基にした近未来SFアクション

経験や知識はそのままで、若く健康的な肉体に戻れたら…と願ったことはあるだろうか。そんなことは夢物語だと思っていたけれど、遺伝子操作で作り出された肉体に脳の記憶を送り込むということが、動物実験では一部成功しているという。神の領域に踏み込むと批判されそうなそういう技術を前面に押し出して、スリリングなSF娯楽作が登場した。

政界や財界にも大きな影響力を持つ建築家のダミアンは、がんのため余命半年と宣告される。そんな折、ある研究所を統括する科学者から「遺伝子操作による新しい肉体に、あなたの頭脳を転送しないか」と提案される。もう一度別の人生を生きることを選択したダミアンだったが…。

テンポの良い語り口で次はどうなるのだろうとワクワクさせるところは、ターセム・シン監督のうまさだ。何か裏がありそうな、なぞめいた研究所、ダミアンをしつこく襲う不思議な幻覚、周到に隠されていた真実。主人公が「何かおかしい」と気づくあたりから、だんだんとサスペンスの色が濃厚になり、アクションシーンも増えていく。

熟年のダミアンをベン・キングズレーが、新しい肉体を得たダミアンをライアン・レイノルズが演じ、それぞれに適役である。意外にもほんわか感のあるラストシーンだ。

(ライター 宮田彩未 

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