生きうつしのプリマ
7月23日(土)から京都シネマで公開
母にそっくりの女性と出会い、封印された家族の秘密が開く
ドイツのクラブに歌手として勤めていたゾフィは、父が偶然にもインターネットで見つけたひとりの女性の顔に驚く。なんとその人は、1年前に亡くなった母とうり二つ! 彼女はメトロポリタン・オペラで活躍する歌姫・カタリーナだった。父のたっての要請で、ゾフィはニューヨークに向かい、カタリーナと会う。だが、なぞはなぞを呼び…。
親しい人とあまりにも似ている人に出会うと、びっくりするだけでなく、怖いほどではないかと思うのだが、この映画は監督マルガレーテ・フォン・トロッタの実体験に着想を得たもの。なぜ亡き母とそっくりさんなのかを知ろうとするヒロインの旅は思いもかけない展開となっていく。幾つものなぞがちりばめられ、やがて母の生きてきた人生というものについて、そして、関わった男性たちの確執について、私たちもいろいろと思いをめぐらすことになる。
家族というものに対する見方はそれぞれで、安らぎの源という人もいれば、これほど厄介なものはないという人もいるだろうが、ヒロインは昔の家族の秘密を知り、それでも、そこにあった愛情に打たれたのだと思う。歌手としても活躍するカッチャ・リーマンとバルバラ・スコヴァという女優さんの歌いっぷりにもぜひ注目してほしい。
(ライター 宮田彩未 )