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試写室・劇場から

団地

6月4日(土)から京都シネマで公開

©2016「団地」製作委員会

個性あふれる役者をそろえて、奇想天外で人情あふれる物語に

藤山直美を主演に迎えて阪本順治監督がメガホンを取った「顔」はすごい力量を放ち、数々の映画賞にも輝いた。それから16年、再びこのふたりがタッグを組んだ本作は、まるで色合いが異なるけれど、吸引力の強い異色作で、思わずくすりと笑い、またしみじみとした気分にもなる。意外な結末も含めて、ほんとに面白かった!

舞台は、昭和テイストの濃い庶民的な団地である。ヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)は、営んでいた漢方薬局をたたんで、ここに引っ越してきた。新参者の彼らに、周囲は好奇の目を注ぐのだが、あることがきっかけで、清治は「俺は死んだことにしてくれ」と、床下の収納庫に隠れ、一切、外へ出て行かなくなった。うわさはうわさを呼び、マスコミまで押しかけてくるが…。

物語の軸となるもう一組の夫婦を演じるのが、大楠道代と石橋蓮司。演技的化学反応とも呼ぶべきおかしみが、二組の夫婦の間から立ちのぼっていく。ヒナ子の「団地てオモロイなぁ…うわさのコインロッカーや」というセリフが的を射ているのだが、阪本監督が書き下ろしたオリジナルな物語は、庶民的世界からなんと宇宙空間へと思いを届けるSFへと発展していく。破天荒だが、ラストシーンの一瞬のほのぼの感がすごくイイ!

(ライター 宮田彩未 

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