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インタビュー

ブレストケア京都合同会社 代表 林かおりさん

四条河原町にある「お客様相談窓口・京都工房」は予約制。
サンプルの展示があり、製品に関する相談もできる。http://www.bc-kyoto.net/

乳がんを乗り越えて自分らしく輝く、手助けがしたい

女性の起業家を支援する、京都府主催の「京都女性起業家(アントレプレナー)賞」。2015年度の京都リビング新聞社賞を受賞したのは、林かおりさんです。



林さんが手がけているのは、人工乳房や乳房パッドの製造・販売です。

粘土工芸の講師をしていた林さんは「乳がんを患った母に、人工乳房を作ってほしいと頼まれて」、ブレスト(乳房)・アーティストの養成講座を受講。「そこで初めて、このような仕事が、実はまだあまりないのだと知ったのです。乳がんは年々増え、低年齢化も進んでいるというのに」

講座終了後は、人工乳房製作者としてメーカーに勤務。「実際、乳がんで乳房の摘出を余儀なくされた多くの人たちに直接触れて思ったんです。この方たちの、今後の人生が輝いていくような物作りがしたいと」

そこで、「自分で乳房の膨らみを調節したい」というニーズをくみ取った製品を開発し、2014年9月に独立。同時に人工乳房製作者の養成スクールもスタートさせました。

「受講者の中には乳がん経験者も。経験者にしか分からないことがある、それを生かしてもらいたい」と、卒業後は、同社の製造部門で働いてもらっているとか。

オーダーメイドの人工乳房は、約1カ月半かけて製作するのだそう。

「傷口に合わせて型取り、粘土合わせを行った後、血管やほくろの位置まで丁寧に再現します。装着したまま入浴も可能で、『もう無理だと思っていたのに、温泉に孫と一緒に入れるのがうれしい』という声も聞けました」。ほかに、人工乳頭や、ブラジャーの中に着ける乳房パッド(写真左)も。

「乳がんを乗り越えようとする方たちに、そっと寄り添うことができれば。この仕事を、細く長く続けていきたいです」

(文・田中理絵

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