ドリーム ホーム 99%を操る男たち
3月26日(土)から京都シネマで公開
“マイホーム願望”を打ち砕く驚きの現実がここにある
高額の分譲住宅を買うのは、住むためでなく、投資の一手段というケースを近ごろよく耳にするが、庶民が夢見るマイホーム像とは大きくかけ離れている。本来、家とは家族の憩いの空間であり、家族の歴史を育む場所であったはずだが…。サブプライムローン問題とリーマンショックに揺れたアメリカを舞台に、衝撃の事実を訴える本作は、日本に住む私たちにもあらためて家について考えさせる。
シングルファーザーのデニスは、母と息子の3人暮らし。大不況で収入が激減し、住宅ローンを滞納、裁判所から自宅の明け渡しを命じられる。そして間もなく、不動産ブローカーのカーバーを伴う強制執行が行われるのだが、その後、デニスが決断したのは、なんとカーバーの下で働くことだった!
弱者が強者になって、弱者に圧力をかけるようになるという展開に、あぜんとしてしまう。もともと優しいタチのデニスがどこまで耐えられるか。家を単なる“箱”と見なすカーバーの不敵さ、その背後にあるものは何か。悲しみあり、人間の業の深さからくるこっけいさあり、サスペンスの要素も多い人間ドラマである。アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノンの競演は見ごたえたっぷり! 監督はラミン・バーラニ。
(ライター 宮田彩未 )