ヘイトフル・エイト｜試写室・劇場から

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猛吹雪に閉じ込められた８人の嘘と欲望がうずまく密室殺人劇

クエンティン・タランティーノ監督自身、「おれの最高傑作」と豪語する最新作がこれ。独特のバイオレンスアクション映画を作ってきた彼らしく、けっこう過激なシーンもあるのだが、からみあう人物相関図と練られた筋運びで、２時間48分という長さを感じさせない面白さだ。

設定は南北戦争後のアメリカ。いちめんの雪世界を走る駅馬車に、手錠でつながれた男と女が乗っている。賞金稼ぎの男が重罪犯の女を連行しようとしているのだ。さらに、黒人の賞金稼ぎの男と新任保安官だという男が加わり、雑貨商のロッジへ向かう。そこには4人の男がいて、彼らは猛吹雪で密室と化した店で過ごすのだが…。

お互いに心を許せず、疑心暗鬼の空気が漂う室内で、次々に明るみに出てくる過去のつながり、そして、ついに起こる毒殺事件。そこから物語は一気に噴火する。出演はサミュエル・Ｌ・ジャクソン、カート・ラッセル、ティム・ロスほか。ジェニファー・ジェイソン・リーの極道の女ぶりにも注目！　“リンカーンからの手紙”というのが大事な小道具で、血なまぐさい場面後の、一服の清涼剤の役目を果たしている。70ミリフィルムによる映像ならではのだいご味も味わってほしい。18歳未満は観賞できないＲ18＋指定。

（ライター 宮田彩未　 ）