愛しき人生のつくりかた
2月20日(土)から京都シネマで公開
三世代家族の喜怒哀楽を描いた温かなタッチに引かれる
80代半ばのマドレーヌは夫に先立たれ、ひとり暮らしの身となった。その面倒をみることになった長男ミシェルは、妻との関係がギクシャクしているうえに、定年退職後、何やら手持ち無沙汰で頼りない。マドレーヌの心をなだめてくれるのは、しょっちゅう顔を出して相手になってくれる心優しき孫だ。そんなある日、けがをしたマドレーヌは、周囲からの勧めで老人ホームに入ることになったが…。
まだまだ自分は元気だと思っているのに、望まぬ環境の変化を強いられたマドレーヌ。その心情がよくわかり、彼女がとった勇気ある行動にエールを送りたくなった。また、ミシェル夫妻のいざこざも熟年にはよくあることと納得できるし、これから先が見えにくい孫の気持ちもうなずける。それぞれの世代が抱えている普遍的な悩みを、コミカルな要素も加え、共感しやすい語り口で伝えていると思った。
配役が素晴らしい! マドレーヌ役で歌手のアニー・コルディ、「仕立て屋の恋」の名優ミシェル・ブランやシャンタル・ロビーが出演している。監督はジャン=ポール・ルーヴ。俳優でもある彼は、ホテルのとぼけたオーナー役で登場。
「人生っていろいろあるけど、やっぱりイイかもね」と、見た後にほっこりした気分になれる。
(ライター 宮田彩未 )