さようなら、オレンジ
岩城けい ちくま文庫・626円
異国でたくましく生きる、そのカギは“言葉”でした
本書はアフリカ難民のサリマと、日本からやってきた言語学研究者の妻“ハリネズミ”の2人の女性の物語。2人とも異国の地であるオーストラリアで暮らすことになるのですが、そこに待っていたのは言葉の壁でした。
言葉がままならないがゆえに苦労が絶えず、それぞれ悲しい試練が…。それでも、英語が上達するに従って運命は好転、人間としての尊厳を取り戻していきます。
「異国で暮らすためのもの」だった言葉が「自分を表現するためのもの」へとその役割を変えてゆく様に、言葉の持つ豊かさを感じずにはいられませんでした。そしてその中でたくましく生きる2人の姿にたくさんの勇気をもらえたのでした。
【紹介者】
ことばのはおと 中村仁さん
ことばのはおと 中村仁さん
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