今年最後の「かけいぼ診断」。家計にかかわる社会の動きと、“時間”をキーワードにした資金計画について、いつもより詳しく紹介します。
「NISA」の上限が120万円に、「ジュニアNISA」も創設へ
2015年は、お金にかかわる事柄でさまざまな変化があった1年でした。
特に関心が高かったのが、「相続税の改正」です。基礎控除が改正前の6割まで引き下げられた結果、相続税がかかる世帯の割合が増加。相続について不安を感じる人も増えました。「わが家は関係ない」と思っている人は多いのですが、相続に関する裁判の約8割は、遺産が5000万円未満のケースで起きていることを考えると、意外と身近な問題といえるかもしれません。遺言など事前の対策を講じることで、トラブルを減らすことも可能です。
2016年に注目したいのは、「NISA(少額投資非課税制度)の拡充」です。現在、100万円になっている非課税投資枠の上限が、120万円へと引き上げられる予定となっています。「株や投資信託で資産運用をしている」「将来に備えて運用をはじめてみたい」という人には、耳よりなニュースでしょう。
さらに、0~18歳の未成年者を対象とした「ジュニアNISA」が創設されます。非課税投資の限度額は年間80万円。子どもの教育資金準備や祖父母から孫への生前贈与の手段として、ジュニアNISAを活用する事例も増えそうです。
私たちのお金を取り巻く制度は、どんどん変わっていきます。常に新しい動きをとらえて、マネープランに上手に生かしていきたいですね。
住宅・教育・老後の資金は、準備期間を逆算して貯蓄を
マネープランを考える上でポイントとなるのが、「住宅」「教育」「老後」の人生の三大資金です。いつお金が必要なのか、準備にはどれくらいの時間がかかるのか、優先順位などを整理してみてはいかがでしょう。
まず「住宅資金」。必要な時期は、家庭によってまちまちです。時期が決まっていないなら、「子どもが小学校に入学するまで」「社宅に住むことができる年齢まで」など、目安の時期を家族の状況に照らし合わせて設定。購入したい物件価格の2割程度を目標に、計画を立てるとよいでしょう。
「教育資金」の場合は、大学進学の費用をメインに考えます。これは、高校までの教育費は家計のやりくりで対応できることが多いため。子どもの大学進学を考えているなら、18歳までの年数を計算し、学資保険や給与天引きの積み立てなどで確実にためていきましょう。進学まで時間がなく準備が難しいようなら、奨学金や教育ローンを活用する方法も。安易な借り入れは避けたいですが、無理のない範囲で利用して乗り切ることも一手です。
最後の「老後資金」は、世代によってかなり長期のスパンで考えることもできます。状況次第では、積極的に運用しながら準備していくことも可能。確定拠出年金やNISAなどの非課税制度を活用して、投資信託でこつこつと積み立てをするといった方法もお勧めです。
新しい年のスタートに、今後の夢や希望を家族でしっかりと話し合い、マネープランを実行していきましょう。
ファイナンシャルプランナー
八束和音
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