マルガリータで乾杯を!
11月28日(土)から京都シネマで公開
与えられた場所で咲くこと、自分らしさを大切にすること。
「マダム・イン・ニューヨーク」というインド映画が好きになった人なら、きっとこの作品もお気に召すだろう。明るくてけなげで前向きなヒロイン、ユーモアと切なさのエッセンス、さわやかな後味。家族も含めた、人との交流図もていねいに描かれていて、とても好感を持った。
作家になるという夢を抱くライラは、生まれつきの障がいで体は不自由だが、向学心も好奇心も旺盛な19歳。だが、無神経なことばや失恋で落ち込んでしまった。そんな彼女を後押ししたのは母親だ。ニューヨークの大学への留学が決まり、一緒に海を渡ってくれたのだ。インドとは違う新しい生活に目を輝かせるライラだったが…。
自身の病よりもライラの将来を心配し、大きな愛で包み込む母親像に打たれるとともに、心がとびっきり自由かっ達なライラという女性像にもひかれる。もう一人、ライラが大都会で出会い、恋人関係になるハヌムという女性も魅力的だ。ライラの性にからむこともきちんと取り上げた監督ショナリ・ボースの率直さ、ライラ役カルキ・コーチリンの、目をくぎ付けにするような素晴らしい演技にうなった。存在感のあるレーヴァティ、サヤーニー・グプターほか共演。自分らしく生きることの大切さをしみじみ語ってくれる秀作。
(ライター 宮田彩未 )