レコードと暮らし
田口史人 夏葉社・2376円
無名のレコードから見えてくる、懐かしい昭和の暮らし
一般的な音楽史はヒット曲やエポックメイキングな音楽家の仕事が紹介されます。その背景には、ミュージシャンですらない人々や、企業が発売した音楽ですらないレコードが存在しました。
本書は非ポピュラー音楽をたどる異色の戦後日本レコード史。かつてレコードは日本人の暮らしに寄り添ったメディアでした。高度経済成長期、廉価なポータブルプレーヤーが普及し、レコードが大量生産されます。東京オリンピック開催を前にして新宿区などが配布したフォノカードと称される簡易レコード。無名の歌い手たちによるプライベートなレコード。無名の音盤には、匿名的で穏やかな昭和の暮らしが埋もれているのです。
【紹介者】
誠光社 堀部篤史さん
誠光社 堀部篤史さん
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