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試写室・劇場から

サヨナラの代わりに

11月7日(土)からMOVIX京都で公開

©2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.

対照的なふたりの女性が、心を寄せ合い作った共鳴音。

35歳になった主人公のケイトは、愛情豊かな弁護士の夫と豪華な住まいに暮らす、いわばセレブなマダム。幸福の絶頂にある彼女だったが、難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)を発症、生活が一転してしまう。体の自由がきかなくなったケイトのもとに、介助人として大学生のベックがやって来るが、彼女は介助どころか家事も満足にできないシロウトで…。

「最強のふたり」という映画もあったが、世間的にハンディキャップあるいは負の要素を持っていると見られるふたりの間で熟成していくものが生まれていく。そして、そもそもハンディキャップとは何なのか、と考えさせるところに、この手の映画の魅力がある。本作では生活ぶりも性格も年齢も全く異なる女性ふたりだけど、彼女たちはお互いに感じたこと、望むことをキャッチボールのように交わしながら、死という壁の前で笑い、泣き、抱きしめ合う。いわゆる難病ものの暗い影でなく、生きていくための光のほうに力点が置かれていると感じた。

ヒラリー・スワンクはその熱演とともに、距離を置くように人生を見つめ始めるまなざしが印象的。ドジで少々下品なベックを演じたのはエミー・ロッサム。ラストシーンでは、得意の歌声を聞かせてくれる。ジョージ・C・ウルフ監督。

(ライター 宮田彩未 

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