悪党
薬丸岳 角川文庫・637円
忘れられない過去を持つ、被害者遺族の姿を描いたミステリー
探偵事務所で働く佐伯修一。毎日さまざまな調査依頼を受けながら、かつて加害者の身勝手な理由で無念の死を遂げた姉のことをずっと忘れられずにいた。
そんななか、ある老夫婦からの依頼をきっかけに、姉の事件にも関与していたかもしれない人物にいきつく。
犯罪被害者遺族というのは、この混沌(こんとん)とした社会のなかで、どのような気持ちで生きていかなければならないのか。復讐(ふくしゅう)からは何も生まれない、何も解決しないことを思い知らされるだけなのか。
暗い気持ちにもなりますが、読み終えた後は心がホッとする、連作短編集。
【紹介者】
大垣書店四条店 小林素紀さん
大垣書店四条店 小林素紀さん
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