ミュージカル「クレイジー・フォー・ユー」｜試写室・劇場から

撮影／山之上雅信

歌って踊って恋をして、誰もがみんなハッピーになる！

ブロードウェーのイルミネーションのきらめき。キュートな踊り子たち。西部の砂漠の町。酒場にたむろする荒くれ男と粋な女たち。１９３０年代のアメリカのトキメキが、色鮮やかに飛び出す舞台。世界的レベルのダンス力を持つ、「劇団四季」お得意の名作である。

ダンスに夢中な青年ボビーは、銀行家の母の命令で、さびれた劇場の差し押さえのために、ネバダ州の田舎の町へやってくる。ところが彼は、その劇場主の娘で、鼻っ柱の強いポリーに一目ぼれ。なんとか彼女の気をひこうと、ブロードウェーの大興行主・ザングラーに成りすまして、劇場でのショーを企てる。するとポリーは、その偽ザングラーにぞっこん。そこへ突然、本物のザングラーが現れたのだから、さあ大変！

音楽はＧ・ガーシュイン。「アイ・ガット・リズム」「サムワン・トゥ ウォッチ・オーバー・ミー」など、誰もがいつかどこかで耳にしたことのある曲があふれ出る中、洪水のようなタップダンス、ボビーの強靭（きょうじん）でしなやかなソロダンス、ポリーの小粋な歌声などなど。歌って踊って恋をして、最後はみ～んなまとめてハッピーになる。ブロードウェーミュージカルの王道を行く舞台である。

（文筆業　あさかよしこ　 ）