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試写室・劇場から

ミュージカル「レ・ミゼラブル」

8月29日(土)まで、梅田芸術劇場メインホールにて公演中

写真提供=東宝演劇部2015年帝劇公演より

壮大な“愛と赦し”の名作。実力派の重厚な演技が圧巻

日本では、1987年から上演され続けている、世界のミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」。2年ぶりの大阪公演となる。

貧しさから、ひと切れのパンを盗み投獄され、19年目に仮釈放の身となったジャン・バルジャン。世間の冷たさの中で出会った司教により、人間の心を取り戻し、養女コゼットと共に慈愛に満ちた日々を送っていたが、その背後には、常にジャベール警視の執拗(しつよう)な追跡の目があった。そしてパリでは、革命を目指す学生たちが決起し…。これらの物語が、すべて歌によって演じられていく迫力は、きらびやかなブロードウェーミュージカルとは、また趣を異にした、上質な重厚さと感動を与える。

歌、演技、装置など舞台全体が見事な一体感をみせる中、主人公のジャン・バルジャンを、3人の実力派俳優(品格の福井晶一、ワイルドな吉原光夫、祈りのヤン・ジュンモ)が交代で演じている。3人それぞれが、宿敵ジャベールとの対立や、神と対峙するシーンは実に圧巻! また、学生たちのリーダー・アンジョルラスや、彼の同志・マリウスを慕う少女エポニーヌ、ガブローシュ少年たちの、市街戦の中でみせる、凛(りん)とした覚悟と生きざまもまた、たとえようもなく美しく印象的である。

(文筆業 あさかよしこ 

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