インサイド・ヘッド
7月18日(土)からTOHOシネマズ二条・Tジョイ京都ほかで公開
頭の中を視覚化した驚くべき発想力にうなる!
ポジティブ志向が人生に幸福をもたらすというような本が世の中にあふれているが、いつも前向きでいられるわけではないし、「がんばれ!」と言われると、よけい疲れるという人もいるだろう。感情は人それぞれだし、感情そのものがそんなに単純なものではないということを、この映画があらためて教えてくれる。
それにしても、感情をアニメーションという形で映像化するという奇抜な試みには心底驚いた。少女ライリーの成長物語といえるが、本当の主人公は彼女の頭の中に住む5つの感情―ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミたちである。新しい街へ引っ越したライリーが幸せに暮らせるよう日々力を合わせる彼らだったが、ひょんなことからヨロコビとカナシミが頭の中の司令部から放り出される。ライリーが極度に情緒不安定になり、さあ大変!
そして、ヨロコビとカナシミが司令部に戻るための、スリルに満ちたアドベンチャーが繰り広げられていく。一つ一つきちんと保管されているボール状の“思い出”は、人の感情を培う記憶の大切さを示すようだし、厄介者扱いされているカナシミの“秘密”にも、かなり奥深いテーマ性が感じとれる。きれいな色づかいや、擬人化の造形力にも魅せられた。ピート・ドクター監督。
(ライター 宮田彩未 )