定年退職までのラストスパート期
生活、ゆとり・介護の順に貯蓄を
今年で住宅ローンを完済されるとのこと。コツコツと繰り上げ返済を重ねた努力のたまものですね。退職金を住宅ローンの返済にあてることなく、老後の生活費に全て回せるというのは、マネープランの理想です。
まずは、住宅ローンのハードルを乗り越えて一安心。最終ハードルの老後資金に向けて、定年退職までラストスパートをかけていきましょう。
老後資金の計画は、2つのステップで考えると整理しやすくなります。
1つ目のステップは、生活費に対する備え。退職後の主な収入源となる公的年金で、生活費をどこまでカバーできるのか確認します。現在の支出から考えると、住宅ローン完済後の生活費は月14万円です。ご主人の収入のみで当面の試算をすると、公的年金の予想額が月額9万円程度とのことなので、不足分は月5万円。平均寿命87歳として、退職後22年間分の不足額1320万円が、最低限の貯蓄目標額ということになります。こちらは、現在の貯蓄と退職金、受給が見込める妻の年金などで十分にまかなえるのではないでしょうか。
次のステップは、旅行や習い事などのゆとり、通院や住宅のリフォームといった介護への備えです。退職後、ようやく手に入るのが自由な時間。ゆとりに対しても、しっかりと予算を確保していただきたいものです。ご夫婦で、やりたいことなどを書き出してみてください。その際、大まかな費用も記しておくとよいでしょう。健康・介護の費用は、予測不能な部分ですが、1人300万円程度が目安といわれています。
住宅ローン完済後は、ボーナスを含めて年間120万円程度はためられそう。また、61歳から受け取れる在職老齢年金も、貯蓄に回せます。ご相談者の場合、特に2つ目のステップの貯蓄計画について、ご夫婦でじっくりと考えてみられてはいかがでしょう。