チャイルド44 森に消えた子供たち
7月3日(金)からTOHOシネマズ二条で公開
事件の真相を追いかけたために国家に追われる男のかっとう
1950年代の旧ソ連、スターリンによる恐怖政治下では、“理想国家に殺人は起きない”とされ、この映画で描かれたような連続殺人事件もなかなか真相究明に至らなかったという。そんな暗黒時代に果敢に戦った主人公を描く本作は、スリルあふれるサスペンスとドラマチックな人間模様、心をほっとなごませる結末まで、目が離せなくなる吸引力を持つ。
第2次大戦で軍功をあげたレオは、国家保安省のエリートとなり、美しいライーサと結婚、前途洋々の日々を満喫していた。だが、友人の息子が無残に殺される事件が起こり、さらにライーサにスパイ容疑がかかる。真実を知ろうとするレオに対し、国は残酷な決定を下すのだった…。
体制側だったレオ自身が反体制として圧力を受け、妻に対する疑心暗鬼の影も彼を悩ませる。苦難に立ち向かうレオの意志力は、アクションヒーローにも匹敵する強さだが、なんと恐ろしい国家構造だろう。原作はロシアで発禁本となり、「このミステリーがすごい!」海外編で1位となったトム・ロブ・スミスの小説。トム・ハーディ、ノオミ・ラパス出演。ゲイリー・オールドマンが重要な役どころで登場する。監督はダニエル・エスピノーサ。12歳未満は保護者の同伴が適当なPG12指定。
(ライター 宮田彩未 )