傷だらけのふたり
5月23日(土)から京都みなみ会館で公開
とんでもなく不器用な男の、とんでもない純愛のゆくえは?
一時期、砂糖菓子のように甘ったるい韓国映画を続けて見たことがあって、その手のは苦手だなあと感じたのだが、これはユーモアとペーソスのバランスがとてもいいラブストーリー。人生の機微がそこかしこに顔をのぞかせ、しみじみとした印象を刻みつける。
韓国の海沿いの街・クンサン。高利貸しの会社に勤めるテイルは、向こう見ずで粗野な男だが、情に弱い部分も持っている。ある日、こんすい状態になった男の借金を取り立てようと訪れた病院で、男の娘であるホジョンと出会い、一瞬で恋におちてしまった。デートしたいと願うテイルは、奇抜な作戦でホジョンに近づこうとする…。
外見は超軟派だが、ホジョンを思うあまり不器用なカワイさを表し始めるテイル。子どもが書いたような“計画書”もほほえましく、演じるファン・ジョンミンに目を引き寄せられる。対するホジョン役のハン・ヘジンは、テイルに対する気持ちの微妙な変化をとらえた的確な演技だ。山あり谷ありのデートを重ね、ホジョンの心が柔らかくなった後、物語は予期せぬ方向へと展開する。最後はメロドラマの色を帯び、涙もろい人はご用心。監督・脚本は、主人公を取り巻く人物像もしっかり描き込んだハン・ドンウク。これが長編監督デビュー作である。
(ライター 宮田彩未 )