MOMMY/マミー
4月25日(土)から京都シネマで公開
世界から熱い注目を浴びている若手監督の最新作にうなる!
世の中には時おりすごい才能を持った人が現れる。この映画の監督グザヴィエ・ドランは1989年生まれのカナダ人、19歳で監督デビュー作「マイ・マザー」を発表して脚光を浴びた。そして、5作目の本作は、昨年のカンヌ映画祭で審査員特別賞に輝く。モデル並みの容姿はおまけとしても、彼が描く映像美と脚本の緻密さ、見る者の胸に深く切り込んでくる真摯(しんし)な作家魂で、世界的にファンを獲得し続けている。
物語は、おしゃべりで気の強いシングルマザーのダイアンと、多動性障害のために情緒不安定な息子スティーヴの、どこかユーモラスともいえる生活描写から始まる。そこに、神経過敏で引きこもりになっている隣人のカイラという女性が加わる。世間の“フツー”からはやや遠い3人の日々は安定し、ずっと続くかに見えたが…。
母と息子の情愛、それを裏切るような母の決断と後悔。それでも「やったネ!」と言いたくなる希望の色を含んだエンディング。感傷に訴えるものはないのに、じい~んとさせられる。これは並大抵の力ではないなと思う。主として正方形の画面を採用した手法は斬新。アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロンという配役もすばらしい。
(ライター 宮田彩未 )