セッション
4月17日(金)からTOHOシネマズ二条で公開
鬼教師と弟子が繰り広げる、壮絶な音楽的地場を体感する!
芸術を極めるという過程では、狂気に近いものに魅入られることがあるのではないだろうか。ある分野で並外れた才能を発揮する人を「奇才」だとか「鬼才」と呼ぶのもそれと関係しているように思う。この映画を見終わったときの、頂点まで登りつめた興奮度。それを与えてくれたのは、確かに狂気だった。
名門の音楽大学でドラムを学ぶ主人公のニーマンは、厳しい指導で有名なフレッチャー教授に声をかけられる。教授のバンドに参加でき、これがチャンスと喜んだニーマンだったが、恐るべきレッスンが彼を待っていた。0.1秒のテンポのミスも許さない。できなければせっかくつかんだチャンスも水の泡。すべてを投げ打って練習するニーマンだったが…。
複雑なキャラクターで迫ってくる教授と、彼に追いつめられながら歯を食いしばり頑張りぬこうとするニーマンの、心理戦は見ごたえたっぷり。圧巻は、9分以上もの壮絶な演奏で度肝を抜く名曲『キャラバン』のラストシーン。このときの教授の表情は本作のツボだ。教授役で本年アカデミー賞助演男優賞に輝いたJ・K・シモンズと、ニーマンを演じたマイルズ・テラーに拍手! 撮影時28歳で自身の体験をもとに脚本・監督を務めたデイミアン・チャゼルの今後も楽しみだ。
(ライター 宮田彩未 )