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試写室・劇場から

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

4月10日(金)からTOHOシネマズ二条、MOVIX京都で公開

©2014 Twentieth Century Fox.

昔の栄光とキツイ現実の間で、起死回生をねらう男は?

主演のマイケル・キートンが、昔、「バットマン」を演じたことを思い出せば、本作の主人公がキートン自身とダブって見えてくるのは当然。スーパーヒーローが俳優に乗り移ってくるようなおかしさや、いろいろな意味でかなりブラックなジョークも含んだ異色作だ。

「バードマン」の当たり役で有名になったリーガンだが、近ごろは満足できる仕事がない。妻とは別れ、娘は問題を抱え、お金も尽きてきた。そこで、もういっぺん自分の名声を取り戻そうと、ブロードウェーの舞台に立つことにした。しかし、けがをした共演者の代役としてやって来た俳優とはもめるし、リーガンの背中では“バードマン”の責めるような声が聞こえるし…。さて、彼は舞台を成功させることができるのか?

アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督は全編1カットかと思わせるような凝った映像を駆使し、主人公の混乱ぶりと心の行く末を追っていく。物語の終点には意味深なところがあり、見る者それぞれに、結末を想像していただきたい。演技派と呼ばれるエドワード・ノートンが、劇中で“演技派俳優”を演じているのも見もの。本年アカデミー賞では作品賞を受賞した。見た後の重量感よりは、奇抜さやアイロニーのほうが突出した作品であるように思える。

(ライター 宮田彩未 

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