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試写室・劇場から

フォックスキャッチャー

2月14日(土)からMOVIX京都で公開

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大富豪と金メダリストをめぐる驚きの事件の背景に迫る

火薬で巨万の富を得て、アメリカ有数の財閥となったデュポン社。その御曹司ジョン・デュポンが1996年にレスリングの金メダリスト、デイヴ・シュルツを殺害するに至った経緯を、じっくりと見せてくれるのがこれ。ミステリアスな部分を秘めた重量感のあるドラマだ。

ロサンゼルスオリンピックでアメリカに金メダルをもたらしたレスリングのデイヴ&マークのシュルツ兄弟。幸せな家庭を持つデイヴとは違い、弟のマークはうっ屈したものを抱えていた。そんな彼に、思いもかけない提案が大富豪から寄せられる。ジョン・デュポン率いるレスリングチーム“フォックスキャッチャー”に参加しないか、共に世界一をめざそうよというのだ。

ところが、コカインを勧めたり、いきなり銃をぶっ放したり…とっぴな言動を現し始めるジョンの胸につかえているのは、母親の存在であることがわかってくる。後にデイヴも加わってからは、ジョンとマークの関係性が少しずつ変化していく。えたいのしれない不気味さをじわじわとあぶり出したのは、付け鼻を用いて演じたスティーヴ・カレル。受けて立ったチャニング・テイタムとマーク・ラファロも好演。『カポーティ』のベネット・ミラー監督による抑えた演出が光る。

(ライター 宮田彩未 

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