繕い裁つ人
1月31日(土)からMOVIX京都で公開
こだわりの仕立て屋が作る人を幸せにする服とは?
おしゃれなパリジェンヌは上質の数少ない服を大切に普段づかいする…というような記載を新聞で見かけた。安価な服が大量消費される現代にあって、背筋をしゃんと伸ばすようなおしゃれ術だなと思う。
神戸の坂の上にある『南洋裁店』の主は、祖母から受け継いだ型紙とスタイルを守り続ける二代目の市江。大手デパートに勤務する藤井は、なんとかして彼女の服をブランド化したいと通い詰めるが、市江は全く興味を示さない。藤井は市江のことを“頑固じじい”と呼ぶが、次第に彼女の胸の奥底にあるものに気づき始める…。
これまで職人の生き方に的を絞ってきた三島有紀子監督が、同名の人気コミックを映像化したもの。もうけ話にすぐ飛びついたりしない市江という女性のりんとした姿や、この物語に出てくるお子さま禁制の大人の“夜会”がいいなあと思う。妙にギスギスしている近ごろの世の中だが、ここに描かれているものは、古き良き時代へのノスタルジーのように優しい。頑固一徹な市江が変わるきっかけになるエピソードもさわやかな余韻を呼び起こしてくれる。中谷美紀、三浦貴大、片桐はいりほか。市江のすてきな仕事服のほか、レトロっぽさを残しつつアレンジされた数々のお仕立服にも目をとめて!
(ライター 宮田彩未 )