なずな
堀江敏幸 集英社文庫・799円
40代独身男性の元に来たのは、生後2カ月の赤ちゃんでした
世界の中心はベビーカーで眠るあの子にある。開発の進む町で周囲の人々の善意と愛に支えられ、すくすくと育つ「なずな」。
本書は、40代独身男性と、ある事情から彼のもとにやってきた生後2カ月の赤ん坊の日常を描く長編小説です。
こどもの成長を傍らで見守ることは、大きな幸福であると同時に、その秒刻みでたくましくなっていく姿に自分の手を離れていく寂しさを覚えます。
本書は400ページを超える長編ですが、ページが進むにつれて読み終えることを惜しく感じました。それは「なずな」の成長を見守る主人公の心情と似ていたかもしれません。
【紹介者】
FUTABA+京都 マルイ店 鎌田裕樹さん
FUTABA+京都 マルイ店 鎌田裕樹さん
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