俺はその夜多くのことを学んだ
文・三谷幸喜 絵・唐仁原教久 幻冬舎文庫・493円
妄想からの自爆、これぞ“恋愛の真理”
初デートを終え帰宅した「俺」は、その余韻に浸るうちもう一度「彼女」と話したくなる。“今日は楽しかったね”と一言電話して言いたい。が、それは余計なことだと「俺」も頭では分かっている。しかし、いったんついてしまった心の火は簡単には消せない。“電話したい…。”リスクを承知で「俺」は受話器をとる。
好きな女性との距離感をつかめずに独り相撲をとってしまう男の一夜の物語。妄想から疑心暗鬼がうまれ、逆効果を予測しながら行動した揚げ句自己嫌悪に陥る恋愛のスパイラルを、「俺」の独白のみで描写。頭の中で音楽をあてればショートムービーが完成する臨場感。脚本家である著者の持ち味を感じる本です。
【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん
月と六ペンス 柴垣希好さん
()