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試写室・劇場から

不機嫌なママにメルシィ!

11月1日(土)から京都シネマで公開

©2013 LGM FILMS, RECTANGLE PRODUCTIONS, DON'T BE SHY PRODUCTIONS, GAUMONT, FRANCE 3 CINEMA, NEXUS FACTORY AND UFILM

あっぱれの二役に見とれる!自分探しを描く異色コメディー

フランスの国立劇団コメディ・フランセーズの演技派といわれるギヨーム・ガリエンヌが、自らの半生を語った主演&初監督作品。もともと舞台劇としてヒットしたものを映像化したのだが、彼の抜きんでた才能に目を見張る87分間だ。

女の子が欲しかったママがギヨームを女の子のように育ててきたため、マッチョタイプの父親や兄たちから軽んじられ、幼いころから周囲との不調和を感じ続けてきたギヨーム。いつも不機嫌なママだけが、彼の心のよりどころだ。ギヨームは、スペインへ、イギリスへ、ドイツへ…と、新しい体験を求めるのだが、待っているのは、いつもとんでもないハプニング。やがて、自分のセクシュアリティーについて思い悩むようになり…。

ギヨーム・ガリエンヌが、ギヨーム本人とママの二役を演じているのだが、このママには驚く。エレガントな雰囲気やしぐさが実に自然なのだ。大いに笑わせた後、ほろりとさせる“告白”のラストシーンでは、ギヨームの本当のママがちらりと映るが、そっくり! 2014年セザール賞5部門ほかで受賞しているが、当然の評価だと思う。“本当の自分”とは何だったのか。コメディーの形を借りて、自分の人生や家族、性について語るという大胆な挑戦に「ブラボー!」と叫びたい。 (ライター 宮田彩未)

(ライター 宮田彩未 

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