不機嫌なママにメルシィ!
11月1日(土)から京都シネマで公開
あっぱれの二役に見とれる!自分探しを描く異色コメディー
フランスの国立劇団コメディ・フランセーズの演技派といわれるギヨーム・ガリエンヌが、自らの半生を語った主演&初監督作品。もともと舞台劇としてヒットしたものを映像化したのだが、彼の抜きんでた才能に目を見張る87分間だ。
女の子が欲しかったママがギヨームを女の子のように育ててきたため、マッチョタイプの父親や兄たちから軽んじられ、幼いころから周囲との不調和を感じ続けてきたギヨーム。いつも不機嫌なママだけが、彼の心のよりどころだ。ギヨームは、スペインへ、イギリスへ、ドイツへ…と、新しい体験を求めるのだが、待っているのは、いつもとんでもないハプニング。やがて、自分のセクシュアリティーについて思い悩むようになり…。
ギヨーム・ガリエンヌが、ギヨーム本人とママの二役を演じているのだが、このママには驚く。エレガントな雰囲気やしぐさが実に自然なのだ。大いに笑わせた後、ほろりとさせる“告白”のラストシーンでは、ギヨームの本当のママがちらりと映るが、そっくり! 2014年セザール賞5部門ほかで受賞しているが、当然の評価だと思う。“本当の自分”とは何だったのか。コメディーの形を借りて、自分の人生や家族、性について語るという大胆な挑戦に「ブラボー!」と叫びたい。
(ライター 宮田彩未)
(ライター 宮田彩未 )