ザ・テノール 真実の物語
10月11日(土)からMOVIX京都で公開
結び合う心と、人の力が、国境を超え、奇跡を生んだ!
韓国のオペラ歌手、ベー・チェチョル。リリコ・スピント(繊細さと力強さを兼ね備えた稀有=けう=な声)により、100年にひとりの逸材といわれてきた彼が、突然の病により歌えなくなり、そしてみごと復活した話をご存じの方も多いことだろう。この映画は、その実話をもとにしたものだが、生きること、苦境にある者に手をさしのべること、決してあきらめないことの大切さをしみじみと語ってくれる。
日本人の音楽プロデューサー・沢田は、オペラの本場ヨーロッパで頭角を現すチェチョルの声に魅せられる。日本でも公演をしてほしいと誘い、成功させる。だが、その後、チェチョルは甲状腺がんのために倒れ、手術で、歌手の生命線である声を失ってしまう。
沢田はチェチョルの声を取り戻すために奔走する。誰もがもう無理だと思っているのに、彼はあきらめない。ビジネスでなく、友情なのだ。その熱い心が、チェチョルに「もう一度歌いたい」という強い気持ちを起こさせる。韓国と日本の間柄を考えるとき、この映画は単なる美談以上のものを訴えてくる。国境や民族を超え、人と人は確かにつながることができるのだ、と。ユ・ジテ、伊勢谷友介の熱演に注目!
チェチョル本人の美声が聞けるのもうれしい。キム・サンマン監督。
(ライター 宮田彩未 )