おはなしして子ちゃん
藤野可織 講談社・1404円
京都出身・芥川賞作家の“奇想”の小説集
毎日ひとつうそをつかなければ死んでしまう難病を患った少女の話。江戸期の日本で作られていたという猿とサケを縫い合わせた「人魚」の数奇な運命。理科室の猿の標本が、女生徒に「おはなしして」とせがむ表題作。
ここに収められた10の短編小説は思わずゾッとするようなものも多いですが、いわゆるホラー小説でも、サスペンス小説と呼ばれるものでもありません。時に残酷ですが、それだけではなくユーモラスで、荒唐無稽だけど細部はリアル。そう簡単にジャンルにおさめることのできない、「奇想」の小説集。京都出身の芥川賞作家による受賞後初作品集。想像力の飛躍にページをめくる手がとまらなくなること必至です。
【紹介者】
恵文社一乗寺店 堀部篤史さん
恵文社一乗寺店 堀部篤史さん
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