太陽の棘
原田マハ 文藝春秋・1512円
終戦直後の沖縄で出会った、画家と2枚の肖像画
終戦直後の沖縄の米軍基地に軍医として派遣された若き精神科医エド。そこでニシムイ美術村に集まる芸術家たちと出会い、自らも絵を趣味とするエドは誇り高き芸術家タイラと友情を深めていきます。アメリカ人と沖縄人、勝者と敗者、境遇の異なる2人をつなげた物は一枚の絵でした。アートは、それらの隔たりをも越えたものだったのです。
この小説で印象的だったのが、降り注ぐ太陽のもと、強く明るく生きる沖縄の人々の姿です。そして驚いたのは、本作は実話に基づいた物語で、実際にニシムイのアートが存在するということ。表紙と背表紙に描かれた2枚の肖像画は深い感動をもたらしてくれます。
【紹介者】
ことばのはおと 中村仁さん
ことばのはおと 中村仁さん
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