トランセンデンス
6月28日(土)からT・ジョイ京都ほかで公開
一歩間違うと、進化は暴走する。
人工知能をめぐるコワ~いSF
ITの技術はまさに日進月歩だ。近い将来、感情を持つマシンが人類と融合し、現在の人類を超越(トランセンデンス)して、新しい進化のステージに入るだろうといわれている。その行く末を想像すると、なんだか恐ろしいのだが、それをリアルに描いたのが本作だ。夫婦愛が、とんでもなくスリリングな未来図へと発展していく。
天才科学者のウィルとその妻エヴリンはAI(人工知能)を研究していたが、テロリストの銃弾によってウィルが倒れる。死が間近に迫ったウィルの姿を見て、エヴリンは重大な決心をする。夫の頭脳をコンピュータにインストールしようというのだ。そうすれば、夫の意識は死後もサイバー空間で生き続けるはずだからと。それがどんな事態を招くか、彼女は知るすべもなかった…。
不老不死のための技術や遺伝子操作など、神の領域にまで踏み込んでいっていいのか、という議論があるが、この映画もそれに接触する。夢物語的SFを超え、現在進行形の機密プロジェクトを体感させられる、といえば大げさだろうか。自我を持つAIと化したウィルがだんだんと化け物に見えてきて、ジョニー・デップはやはりうまいなと思う。レベッカ・ホール、モーガン・フリーマンほか共演。ウォーリー・フィスター監督。
(ライター 宮田彩未 )