ホーム > > 試写室・劇場から

試写室・劇場から

サード・パーソン

6月20日からTOHOシネマズ二条で公開

©Corsan 2013 all rights reserved

3つの物語が交差してゆく時、映画的至福に包みこまれる!

わかりやすそうに見えて、だんだんとなぞがふくらんでくる。これがその答えだよというような説明は一切なし。でも、「な~るほど!」という気づきの後に、バージョンの異なるいくつかの可能性も考えられ、重層的な味わいのある、凝った作品だ。

3都市で展開する3組の男女の物語。パリのホテルでは、作家のマイケルが最新作を執筆しながら、愛人と濃密な時間を過ごしている。ローマでは、娘を密輸業者に奪われた女と関わったがために右往左往するアメリカ人男性がいる。ニューヨークに住む元女優の女は、息子の親権をめぐって元夫ともめている。それぞれのお話は孤立しているように感じるが…。

ポール・ハギス監督は、本作の草稿を50回以上も書いたという熱の入れよう! 小道具の使われ方、“ウォッチ・ミー”という不思議なささやき、“サード・パーソン”とは三人称の意味であることなどが、なぞを解く鍵だ。サスペンスの香りのするラブストーリーが好きな人なら、きっと夢中になる。そして、十分な注意をもって張られた伏線のありかを確かめるために、もういっぺん見たくなる。演技陣には新旧実力派がそろい、リーアム・ニーソン、オリヴィア・ワイルド、エイドリアン・ブロディ、キム・ベイシンガーなど。

(ライター 宮田彩未 

このページのトップへ