母をたずねて膝栗毛
6月27日(金)まで、大阪松竹座にて公演
多彩な顔ぶれで、上質喜劇の醍醐味(だいごみ)を堪能!
笑った、笑った! あまり心地よく笑いすぎて涙が出た。
江戸で魚屋を営む忠太郎(中村獅童)と女房のお鶴(高橋由美子)、そして女旅芸人のお福(藤山直美)の三人は、大願寺というお寺で一緒に育てられた間柄。その大願寺が火事で焼失。再建のためにお福たち三人は、かつて大願寺の前に子供を捨てながら、今は結構な暮らしをしている女たちに金を出させようと上州・阿波・丹後へと旅に出る。これが、図らずも自分自身の生みの母を訪ねる旅に…。
しかし、いわゆる“母もの”の湿っぽさなどみじんもなく(情愛は十分にあるけれど)、母子ともども、見事な対面ぶりを感じさせるのは「親は無くとも子は育つ」という頼もしいテーマによるもの。
ドタバタのようでありながらストーリーの組み立ては緻密。何よりもそのキャスティングの豪華さに圧倒される。
中でも藤山直美、水谷八重子のゆるぎない安定感。中村獅童の全身全霊(?)のハジケッぷり。そして、あわや!というときに、マカロニウエスタン風な音楽に乗って、まるで椿三十郎のような風体で登場する謎の素浪人(奥田瑛二)の、何とも言えないアウェー感が、たまらなくおかしく、いい味付けになっている。
(ライター あさかよしこ )