美しい絵の崩壊
6月14日(土)からT・ジョイ京都で公開
モラルを突き抜けた愛、その果てを見つめる問題作。
若さが放つオーラに、ふと見とれることがある。それはたぶん自然なことだろうが、ほとんどの人は一線を越えはしない。この映画のヒロインのように、親友の息子と関係を持つだなんて!
だが、世の中は広い。原作はノーベル賞作家ドリス・レッシングが書いた「グランド・マザーズ」で、レッシングがバーで聞かされた実話がもとになっているという。
オーストラリアの美しい海辺のまち。ロズ(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)は、気ごころの知れた仲の良い幼なじみで、それぞれに息子がいる。家族ぐるみのつきあいを続けてきたが、ロズと、彼女を以前から慕うリルの息子が一夜を共にしてしまう。それを知ったロズの息子も、リルに関係を迫り…。
華のある実力派ロビン・ライトとナオミ・ワッツが、若者たちの爆発しそうな恋心にとまどい、母親としての理性と、自身の女の性との間で揺れ動く姿を、繊細に魅力的に演じている。「ドライ・クリーニング」などスキャンダラスな愛の形を描いてきたアンヌ・フォンテーヌ監督の演出もさえ、“美しい絵”が崩れゆく過程では、サスペンスの香りすら漂ってくる。35ミリシネマスコープで撮影された画像の深みのある味わいにも注目! 15歳未満は観賞できないR15+指定。
(ライター 宮田彩未 )