マンデラ ―自由への長い道―
5月24日(土)より、T・ジョイ京都ほかで公開
南アフリカからNO!を発信、人種差別と闘い続けた人生
昨年12月に95歳で亡くなった南アフリカ共和国の伝説の人、ネルソン・マンデラ。その生涯は壮絶なものだったが、晩年の彼の、おだやかで親しみやすい笑顔が今もまぶたに浮かぶ。人権を全く無視したアパルトヘイト(人種隔離政策)のひどさ、そのような理不尽に対して真に大事なことは何か。この映画は、英雄的な指導者であった彼の私生活まで踏み込んで、大きな感動のドラマを見せてくれる。
ヨハネスブルグで希望に燃える弁護士として働く青年時代、初めての結婚と反アパルトヘイト運動への参加、年の離れたウィニーと再婚するあたりから武装闘争路線を選択、国家反逆罪で終身刑となり、46歳から27年間も収監…と、実に波瀾(はらん)万丈この上ない。
だが、収監中に彼は武力ではなく、愛でもって闘うことの大切さを選び取る、憎しみの連鎖を断ち切るために。その結果、武装闘争にこだわる妻ウィニーとの溝が深まっていくのだが、このウィニーの迫力には圧倒される。彼女自身、活動家であるため、思想的不一致はどうしようもない。「復しゅうからは何も生まれない。ゆるすことから希望が始まる」というマンデラのメッセージが本作の根幹だ。イドリス・エルバ、ナオミ・ハリス主演、ジャスティン・チャドウィック監督。
(ライター 宮田彩未 )