珈琲挽き
小沼丹 講談社文芸文庫・1785円
穏やかな時間を与えてくれる85編が収録された随筆集
小沼丹(おぬま たん)は、「昭和」という時代を通して書き続けた作家ですが、その名前を知る人は多いとはいえません。
華々しい文壇とは少し離れたところにいたからかもしれません。「私小説」という手法で、エンターテインメント性のあるストーリーとも違うものを書いていたからかもしれません。
本書は、小沼丹の2冊目の随筆集です。友人のエピソードや身近な出来事、同時代の作家のこと、ロンドン滞在時のことなど、過去を回想する85編の随筆が収められています。
そのひょうひょうとした語り口は、暖色に彩られた、柔らかく穏やかな時間に、私たちを引き込んでくれます。
【紹介者】
古書ダンデライオン 中村明裕さん
古書ダンデライオン 中村明裕さん
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