新版 喜劇「売らいでか!」
2月20日(木)まで大阪新歌舞伎座にて公演中
あっぱれ! これぞ女の鏡。浜木綿子の真骨頂を堪能
夫が不貞をはたらいたとき、妻はどうするか!世の人妻たちにとって、何より興味深いテーマを、この女主人公は、胸のすくような小気味良さでバッサリ。ああ、いい気持ち!
時は昭和31年。ところは忍者の里・伊賀上野。山内なつ枝(浜木綿子)は、この地で手内職の組み紐(ひも)を組みながら、酒蔵の運搬係の夫・杉雄(左とん平)と、つつましく暮らしている。
ところがその杉雄が、地元の大店の支配人・石上太郎(加藤茶)らの陰謀で、当主である未亡人の里子(大空眞弓)と“特別な夜のお勤め”を続けていることが発覚。貞淑な妻から鬼に変貌したなつ枝は、なんと杉雄を、(当時の金額で)50万円で里子に売りとばしたのだ。しかも、しゅうとめ(正司花江)をオマケにつけて…。なつ枝はそのお金を元手に組紐工房を開く。いろいろな困難をも乗り越え、なつ枝の大進撃が始まった。
1968年の初演以来、上演を重ね続け、浜木綿子は本公演中に500回を迎えた。持ち前のあでやかさに、歯切れのいいセリフまわしの巧みさ。関西を舞台にした作品ながら、粋の漂う心地よさに、どっぷりと浸かって楽しむことができる。また、左とん平との相性が、おかしいほど抜群である。
(文筆業 あさかよしこ )