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試写室・劇場から

少女は自転車にのって

1月11日(土)から京都シネマで公開

©2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved

映画館のない国から届いた未来への希望をうたう映画

テレビなどでも報道されることがあるが、サウジアラビアでは女性に対する因習的な規制が多い。車の運転が許されない、初潮以降は全身を隠すアバーヤを着用しなければならない、親族以外の男性と公の場で2人きりで会えないなどなど。そういう厳格な国から、初の女性映画監督が誕生した。しかも、映画館が禁止されている国で、このようなすてきな作品が作られたことに驚嘆する。

10歳の少女ワジダは、男の子の友達アブドゥラの乗る自転車がうらやましくてしようがない。母親におねだりするが、「女の子が自転車に乗るなんて!」と相手にもしてくれない。それなら自分でお金をためて買おうと思うのだが、自転車への道は遠い。そんな折、学校で賞金付きのコーラン暗唱コンテストが開催されることになり…。

少女の目線から見たサウジ社会は、母親がため息とともに痛感している悲しみと重なってくるが、おてんばなワジダの、枠からはみ出ようとするのびやかさが、この物語に光を与えている。とりわけ、ラストのワジダの姿はなんと爽やかで、希望の色を放っていることだろうか。世界の映画祭でも注目を浴びた本作の監督は、ハイファ・アル=マンスール。次回作もぜひ期待したい。出演はワアド・ムハンマド、リーム・アブドゥラ。

(ライター 宮田彩未 

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