現在の住宅の売却益は期待しない
初期投資をいかに抑えるかが重要
夢を持つ奥さまを全面的にサポートしようとする、ご主人の愛を感じます。すてきなご夫婦ですね。夢の実現に向けて、さまざまなリスクを確認し、複数のプランを考えておきましょう。
まず、店舗付き住宅への住み替えについて。ご主人が現在の会社に通える範囲で、駅に近いなど人通りも考慮しつつ、平屋となると、ある程度の敷地が必要になります。仮に、坪単価40万円で50坪(約165平方メートル)程度を見積もると、土地だけで2000万円。さらに、建物・設備費など同じく2000万円とすると、合計4000万円必要になります。
現在の持家のローンが1800万円残っており、奥さまが退職される4年後に売却したとしても、売却益とローン残債の差は同程度。売却益は期待しないほうが賢明です。現在の貯蓄、奥さまの退職金500万円、これからの貯蓄(目標700万円)のうち、500万円を運転資金や予備資金用に残すと、1000万円程度が頭金になります。ご主人名義で、3000万円のローンを期間30年、固定金利3.0%で組んだとして、毎月の返済額は13万円。
これからは、食費や小遣い、自動車保険の見直し、住宅ローンの金利下げ交渉などで、月15万円の貯蓄(年間180万円)を目指しましょう。
次に、開業後の毎月の家計ですが、食費などの生活費を現在の28万円から24万円に抑え、ご主人の収入と奥さまの年金(17万円)を合わせた37万円でなんとか赤字が出ない程度。お店に赤字が発生しても、補てんする余裕は全くありません。ですから、初期投資をいかに抑えるかが重要です。
厳しい飲食業界で収益を得ること自体が至難の業。まず、貸し店舗でお店の経営を経験してみて、これならいけると確信を持てた時点で、プランを実行することも検討してみてはいかがでしょう。