2014年4月から8%にアップする消費税。今年最後の「かけいぼ診断」では、「家計」「投資」「住宅取得」に与える影響や対策など、3人の担当者に解説してもらいました。それぞれの近況報告も併せて紹介します。
割引、買い替え活用でコツコツと「家計」防衛を
八束和音さん
消費税は、家賃、学費、医療費、生命保険料などを除く生活必需品にかかるため、家計に大きな影響を与えます。今後の負担増に備えるために、しっかりと支出をコントロールしていきましょう。
そんな中、意識しておきたいものの一つが、スーパーの割引デー。例えば「5%オフ」を受けられれば、「3%の引き上げ」となる消費税に対して大きな威力を発揮します。割引を受けるためには、クレジットカードの保有が条件になることも多いようですが、家計防衛のために上手に活用していきたいですね。
また、近い将来に買い替えが必要な家電があれば、消費税の引き上げ前に購入することを検討してもいいかもしれません。使用年数の長い家電ほど、エコ性能の高い商品に買い替えることで、電気代というランニングコストを下げることが期待できます。
消費者物価指数の前年比上昇率2%というインフレ目標が設定されるなど、消費税のみならず物価もじりじりと上がっていく可能性があります。家計簿をつけ、日ごろから無駄を抑える習慣をつけておきましょう。
関心が高まる「投資」の利用も一考
山副耕一さん
増税後の投資を取り巻く環境を考えてみましょう。家計節約の動きは、投資にとってマイナス。一方、増税=インフレと捉えれば、預貯金が実質マイナス金利となる可能性から投資市場に資金が流れ、プラス要因にもなります。このような綱引き状態の投資環境の予想は難しいのですが、投資の力を家計に利用することは必須になるかも。投資への関心は、むしろ高まるでしょう。
また、投資環境の大きな変化として、駆け込み需要の先取りによる、特に単価の高い商品を取り扱っている業種の動きには注意が必要です。国内販売比率の大きな企業は、厳しい局面もありそうです。ただし、過去の消費税増税時の株式市場の動きは、あまり関連性がなかったことも知っておいてください。
投資信託の販売手数料と信託報酬は、消費税の課税対象です。特に、投資信託を利用する際には、商品の乗り換えが不利になるため、当初から低コスト商品の選択を心がけるべきでしょう。
また、金(地金やコインなど)の売買も課税対象です。個人が任意の売却時に消費税を受け取ることができるという数少ない取引のため、検討課題の一つとなります。
「住宅取得」の負担緩和策が実施予定
薮内美樹さん
住宅は、人生で一番大きな買い物。消費税アップは家計に大きな影響を与えるため、国は、来年4月から負担緩和策を実施予定です。
まずは、「住宅ローン減税の拡充」。住宅ローン減税は、年末のローン残高の1%を、10年間にわたり所得税などから控除するもので、ローン残高の限度額が現在の2000万円から4000万円に拡充されます。年間20万円以上の税金を納めている人が、2000万円以上のローンを組んだ場合にメリットが出てきます。
次に、新しく創設される「すまい給付金」。年収510万円以下が対象で、10万~30万円が現金で支給されます。消費税は、「建物」にのみ課税され、「土地」は非課税。建物の費用が1000万円の場合、3%増税で30万円の負担増に。最大30万円の支給対象者(年収425万円以下)なら、増税分を全額カバーできることになります。ちなみに、中古住宅の場合、個人の間の売買なら消費税はかかりません。
消費税アップ前と後でどちらが得かは、収入や建物価格によって異なります。不動産価格は、景気により大きく変動するので、増税後の景気にも注目しておきたいところです。
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