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インタビュー

「E-タンス」を考案した「織彦」3代目 樋口恒樹さん

樋口さんの後ろの几帳も、着物を加工したもの。
「E-タンスの引き出しに、着物や帯(の画像)をしまってもらったり、
加工の技術や履歴が分かるようにしていきたいですね」
http://e-tansu.com(開設準備中)

着物の思い出をつなぐため、西陣織の産地から新提案

産官学が連携して実施する「京都文化ベンチャーコンペティション」。第6回ビジネスモデル部門・京都リビング新聞社賞を受賞したのは、樋口恒樹さんの“タンス”でした。



タンスといっても、座敷に置かれているような家具ではありません。その名も「E-タンス」。インターネット上のサイトに今月下旬、開設されます。Eは、electronic commerce(略称イーコマース=電子商取引)を意味しています。

樋口さんは、明治40年に創業した「織彦」の3代目。「祖父と父の代は西陣織物の製造業、私の代で製造加工も手がけるようになりました」

「E-タンス」には、着物や帯などの和装品を、ついたてや額、小物といった別の品物に加工するための情報が幅広く紹介されます。

「40年以上にわたって織物の商売に携わる中、着る機会がなくなったり、親の形見として譲り受けたりした着物をどうしたらいいか。そんな相談を受けることが増えてきたんですよ」

さまざまな加工技術を持つ職人をたばねる西陣織の製造元。そのノウハウを生かして、着物を数珠袋に、帯を几帳(きちょう)にといった具合に、加工の手助けをしていました。すると、「故人愛用の着物が、身近な品物になってうれしい」「帯の柄を見て、懐かしさがこみ上げた」と、喜ぶ声が多数寄せられたのだそう。

「これは、産地ならではの、あらたな着物の生かし方を提案できるのではないか。インターネットで加工品や加工履歴を紹介して、その情報を共有しよう」

これまで仕事の成果を、全て画像と文字でデータ化していた樋口さん。着物を通してお客さんと職人をつないできました。「着物を生かすことは、着物にまつわる思い出をつなぐことなのだと感じています」

(文・稲田千春

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