鑑定士と顔のない依頼人
12月13日(金)からTOHOシネマズ二条で公開
観客に挑戦状を突きつける!名匠から届いた上質ミステリー
この冬、何か面白いミステリー映画はない?と聞かれたら、断然、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の本作をおすすめする。幾つもの謎、周到に張られた伏線、とんでもないクライマックス、名優の味わい深い演技。いずれにもワクワクして、なぜそういう結末に至ったのか、もういっぺん見たくてしようがない。
主人公のヴァージルは熟練の美術鑑定士であり、オークショニアとしても有名だが、実は人間嫌い。彼が愛するのは、ある手段で集めた驚くばかりの数の女性の肖像画だけだ。そんな彼に、鑑定の依頼が舞い込んだ。気乗りのしないヴァージルだったが、依頼主の女性のもとを訪れ…。
広場恐怖症という病気を抱えるこの女性がなかなか姿を現さず、ヴァージルの怒りをあおるのだが、だんだんと彼女への好奇心が高まっていく。幻の機械人形や、秀でた記憶能力を持つ不思議な女のことばやら、物語に仕掛けられた謎により、ヴァージルともども、私たちも迷宮に導かれる。そして、みごとなドンデン返しと、意味深なラストシーンが待ち受ける。ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・ホークス出演。ドナルド・サザーランドが重要な役割で顔を見せる。華麗なエンニオ・モリコーネの音楽もすばらしい。
(ライター 宮田彩未 )