ブルーノのしあわせガイド｜試写室・劇場から

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驚天動地の事実に始まり、すてきな家族関係に至ったワケ

ブルーノはローマに住む元教師で、ゴーストライターの仕事のかたわら、補習塾で子どもたちを教えている。そんなある日、思いがけないことが起こった。教え子の一人ルカの母親から、仕事で海外に行く間、ルカと同居してほしいと頼まれたのだ。なんで俺が？といぶかしく思うブルーノに彼女は告げた。「ルカはあなたの子どもよ」

さて、ここから始まる父と息子の山あり谷ありの共同生活が面白い。これまで自由気ままに生きてきたブルーノだが、学校の成績や生活ぶりが危なっかしいルカに対し、不器用ながらも、少しずつ父親っぽさを発揮していく。ブルーノが実の父だと知らされていないルカのほうは、年の離れた友人みたいな距離感で接する。そんな二人が、あるトラブルによって、本当に父子らしくなっていく過程は、ユーモアとともに、しみじみとした温かさを運んでくる。

ルカと向き合うことで生まれた情の深さと、「人生、何とかなるさ」的なポジティブさが混じり合い、日々の出来事やふれあう瞬間がこれまでとは違う色を見せる。小さな幸せは、大きな幸せの種なんだなと感じさせられる。ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ主演。ルカ役には本作でデビューしたフィリッポ・シッキターノ。監督はフランチェスコ・ブルーニ。

（ライター 宮田彩未　 ）