十月花形歌舞伎
10月27日(日)まで、大阪松竹座にて公演中
昼の部、夜の部とも愛之助が八面六臂(ろっぴ)の大活躍!
片岡愛之助が、昼夜を通し全ての演目の主役をつとめる十月花形歌舞伎。テレビドラマ「半沢直樹」で愛之助が演じた“黒崎”効果もあって、大向こうからの掛け声にも活気がある。
昼の部最初の演目は「新・油地獄 大坂純情伝」。天神組と雁金組という2組の少年たちが対立する中、油屋の息子・与兵衛(片岡愛之助)と、雁金組のリーダー・文三(坂東薪車)の妹・小菊(坂東新悟)との恋模様が…。アレアレ? このシーン、どこかで見たような、と思ったら、この作品は、ミュージカル「ウエストサイド物語」と、近松の名作「女殺油地獄」を融合させた新歌舞伎。
前半は、若者たちの姿が生き生きと描かれ、次第に奔放に生きる母の姿に憎悪を抱く、与兵衛の心の闇が浮かびあがってくる。特に、油まみれの凄惨(せいさん)なクライマックスは必見もの。
昼の部二つ目の演目は「三人連獅子」。文殊菩薩(ぼさつ)の霊地を舞台に、父獅子、母獅子、子獅子による親子の情愛の物語が繰り広げられる。
夜の部は、浪花情緒豊かに、侠客(きょうかく)たちの心意気を見せる世話狂言の「通し狂言・夏祭浪花鑑」。昼夜、どの演目もわかりやすく、初心者にとってはうれしい構成。愛之助の華と勢いのある舞台姿に喝采をおくりたい。
(ライター あさかよしこ )