深夜、雷鳴のなかでしきりに鳴き続ける野犬の遠吠えに、
ふと永遠を思っていた
平野遼 みずのわ出版・3465円
自らの価値観と向き合った“孤高の画家”の生き方とは
この本は、北九州小倉で絵画を探求し続けた画家・平野遼が晩年に描いたデッサンと水彩画をまとめたものです。独学で絵を学び、「闇を見つめ続けた孤高の画家」と評される素描は誰の真似でもない輝きを放ち、シンプルなのに対象の内面まで透けてみせるようなところがあります。
さらに、日記もまとめられており、芸術家としてどうあるべきかを苦悩する姿や創作後も作品に納得がいかずにあらがう姿が綴られています。
日記のなかで平野遼は書いています。「芸術家は結局、孤独の中でこそ美と詩を生み出すのだ」と。誰かの評価ではなく、自らの価値観と向き合った画家がいたことを知ってもらいたいです。
【紹介者】
エレファントファクトリーコーヒー 畑啓人さん
エレファントファクトリーコーヒー 畑啓人さん
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