危険なプロット
10月19日(土)から京都シネマで公開
現実か、フィクションなのか、迷路へと運ぶ知的サスペンス
新作が来れば、何かと期待してしまう監督の一人が、フランスのフランソワ・オゾンだ。とりわけサスペンスを得意とする彼のみごとな腕前が、この作品でも十分に感じられ、印象的なラストシーンまで、すっかりのめり込んでしまった。
作家になる夢を心の奥底に追いやり、高校の国語教師として日々を送るジェルマン。どうしようもない生徒の作文の中に、彼はぴかりと光る原石を見つけた。それは、クロードという名の生徒が、友人宅を訪れて見たことや感じたことをあからさまにつづったもの。その少年の文才を伸ばそうと、個人授業まで始めるジェルマン。が、とんでもないことに…。
美形の生徒に、熟年教師が恋しちゃって…という昨今よくあるパターンにはならない。教師は自分の夢を情熱的に生徒に重ねていくだけ。だが、指導するうちに、いつしか教師のほうが翻弄(ほんろう)されているかのような雲行きになる。映像や文章のナレーションで表されることが、果たして本当にあったことなのか、クロードの創作なのか、それも想像にゆだねられ、見る者は迷路の中を歩かされる。そのスリル感は極上! 出演はフランスの名優ファブリス・ルキーニをはじめ、クリスティン・スコット・トーマス、エマニュエル・セニエほか。
(ライター 宮田彩未 )