姫椿
浅田次郎 文藝春秋・570円
心温まるメッセージ
つらい思いをした分だけ幸せに━
経営する会社が多額の負債を抱えたことから、追い詰められ、自らの死に場所を求める社長。そんな彼が行き着いた先は死に場所ではなく、銭湯でした。寒さが増す冬の夜、ここで出会った人々との会話から、彼は何を感じるのか─。
“つらい思いをした分だけ、人間は幸せになれる”。何度でも読み返したくなる、心温まるこの作品にはそんなメッセージがこめられているように思います。
この表題作「姫椿」を含む八編の短編集。飼い猫が死んでしまったOL、30年ぶりに旧友に出会った男性、70歳で人生を終えたマダム、妻に先立たれた大学助教授。それぞれの人間模様を浅田次郎が描き出します。
【紹介者】
大垣書店四条店 小林素紀さん
大垣書店四条店 小林素紀さん
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